府中のアトリエ
店舗など新築豊かな自然に囲まれた芦田川上流沿いに位置する、既存母屋の隣に建つ木工の為の小さなアトリエの計画である。
ここでは趣味の木工を存分に満喫できる空間の検討に加え、豊かな周辺環境を積極的に建築に取り入れる事を考えた。
内部容積を確保する為にわずかにアーチを持たせた薄い屋根や、構造体であるフレームの単純な組み合わせが、それぞれ独立して存在するように組み合わせ、内・外の区別が曖昧になるよう計画している。
正面の大きな三枚引き戸は、西側へ引き切り全開放とすることにより内外部の境を無くす。また、そのことにより西側の庇に被われた小さな外部空間は周囲より切り採られ、空間化される。
ロフト部分や東西の屋根と接する欄間部分は透明ガラスがはめ込んであり、特徴的な屋根を軽やかに浮き上がらせると共に印象的な光を内部に採り込む。
季節や天候など日々刻々と変化を与えてくれる恵まれた周囲の自然環境を、建築で切り採ることにより増幅させ内部まで採り込むことが出来たのではないかと思っている。