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古田台の家 【e-1アワード2009 受賞】

住宅新築

瀬戸内海に面する山間の中腹にある非常に恵まれた土地に建つ、夫婦と子供一人の為の専用住宅である。

敷地からは眼下に広島市内を一望出来、瀬戸内海に浮かぶ島々やさらにその先へ広がる水平線が壮大なパノラマを展開していた。ここではそのパノラマを最大限取り込みつつ、いかにして快適な住環境を構成するかを考えた。

接道する北面と隣家に面する東面を壁面として閉じ、瀬戸内海に面する南、西面にパノラマを最大限採り込めるように開口部を設け、その開口部にそわせるように諸室を配置する事により、ここでの生活全てがパノラマに面して行われるよう設計した。その際に夏期の日射による負荷を軽減し、冬期にはその日差しを取り込めるように軒の出を設定し、その軒の出に合わせるようテラスを設けた。これは大きな開口部を設ける事による住環境負荷の軽減に加え、開口部面の汚れや崖下からの風の吹き上げからの防御という面でも有効であった。またテラス及び軒を片持ちで跳ね出すように延長することにより、パノラマが地面から切り取られ、また天井に用いた光沢のある仕上に風景が映り込む事も相まって、空中に漂うかの様な視覚効果も得る事が出来た。

住居全体に通じる視覚操作による浮遊感や開放感、肌に直接感じる季節折々の風、刻々と変化する日差しなどによる体験を積極的に内部に取入れたことにより、快適なだけではなく、外部環境にまで延長した住環境を構築できたと思っている。